No.54

十というのは、もともと大してきりの良い数ではない。十二などに比べれば、その差は歴然である。たまたま、人類の指の数と同じだったばかりに、世の中にこれほど君臨することになったのだ。いわば成り上がりものの数字である。ちょうど十個あるな、十人いるな、と思うたびに、そう考える保呂草である。
    (森博嗣・『月は幽咽のデバイス』・ISBN:4062736985

人間の指の数が十二本だったら、数学とかはもっと進歩していたかもしれません。哲学とかだと、そういう不思議さに気付くのが遅くなるかもしれませんけど。