『月は幽咽のデバイス』 (森博嗣・ISBN:4062736985)

月は幽咽のデバイス (講談社文庫)
薔薇屋敷、あるいは月夜邸と呼ばれるその屋敷には、狼男が出るという奇妙なうわさがあった。屋敷の持ち主と友人であった瀬在丸紅子、仕事で来ていた保呂草潤平、二人に呼ばれた小鳥遊練無、香具山紫子、森川素直は、パーティの最中その屋敷で起った、凄惨な密室殺人事件に巻き込まれていく……。Vシリーズ第三弾。
少し思うのですけど、森さんの作品には解説すべきところがあんまりないんじゃないでしょうか。起こっている事象はほとんどの作品で同じですし、物語の進展もなく、トリックへの言及はネタバレとか嫌ですし、評価くらいしかできないのです。
しかしそれでも、読んでいたいと思わせる何かがあることは確かです。ミステリというものを書いているのだから当然といえば当然ですけど、結末が知りたくなりますし、自分と違う思考パターンに触れるという経験もできます。
でもぼくは、あんまりトリックを見破ったことがないですし、探偵小説をそんなに読んでないので、トリックの評価もうまくできないです。となると、キャラクタに魅力がある、つまり森さんの小説は、「キャラ萌え小説」なのだといえると思います。興味深い人たちの、ほのぼのと続く日常(殺人事件が起こってますが)を描いているのです。S&Mシリーズのときも、才川先生の、一風変わった台詞が楽しみだったしなぁ。森先生自身も、ミステリというジャンルにそう思い入れがないようですし。そゆ意味では、今回の解説はちょっと面白かったです。
そんな感じで、てきとーな本作品の評価とか。トリックは中の上くらいでしょうか*1。保呂草さんの正体が少し垣間見えたりします。あと、素直くんが阿漕荘に引越ししてきます。それと、ぺーくん?登場です。今回は、保呂草さんが活躍する巻でした。
うーん、やっぱり星つけずらいなぁ……。S&Mシリーズ全体とかVシリーズ全体とかでならいい評価をしたいのですけど、単体ではやっぱり評価低めになっちゃうですね。
 
    評価:★★☆

*1:信頼度は低いです、あしからず