No.94

「――俺は片眼をなくして、わかったことがある」
「片方の眼が見えなくなって初めて、人間には眼が二つあって、俺にはまだ片方が残っていることに気づいた。この眼が見えるうちに、俺にはやっておくべきことがある――これからそれをやるんだ。手伝え、クラウス。どう考えても、やはりお前の力が要る」
    (渡瀬草一郎・『空ノ鐘の響く惑星で 5』・ISBN:4840228469

きちんと説得も出来る熱い人ってのはいいですねぇ。
失ってはじめて分かる、とか、なってみてはじめて分かる、というような状況はよく見かけますけど、大体は前はなんて幸福だったんだと回想することが多いように感じます。『俺にはまだ片方が残っている』というような捕らえ方は、うまいなぁと感じました。