『ブルー・ハイドレード〜融合〜』 (海原零・ISBN:4086301911)


フィギュアスケートを題材とした小説『銀盤カレイドスコープ』を書いて、スーパーダッシュ小説新人賞を取った海原零さんの新しいシリーズです。今度は潜水艦もの。そーゆー特殊なモノを取り上げるのが好きなのでしょうか。単に趣味の問題?

内容は、ほとんどが海に沈み、3個の勢力が冷戦状態にある世界で、そのうちのひとつの国の将来有望な訓練生達が、あるアクシデントにより軍から追われるようになったお話。おそらく続編も出ると思いますが、今回は軍の支配から訓練生が抜け出すところまでです。プロローグ、やっとこれから冒険が始まるーみたいなところで終わってます。

特筆すべきは、その「潜水艦バトル」という、音だけを頼りに、見えない魚雷をかわすという、他とは異なる舞台設定でしょう。下手をすれば全然もりあがらなそうなものですけど、しっかりとした、息もつかせぬ展開になってました。

気になるところは、(ぼくがだめにんげんなのかもしれませんけど)人の名前が覚えられないところ。主人公達が8人と多いのに、さらに敵の将の名前とかいちいち書いてたら混乱すると思うけどなぁ。あとは「…」と「―」が多いこと。おそらく「重さ」や「沈黙感」といったものを出そうとしてのことなのでしょうけど、(それは成功してますが)気になる人は気になるかもしれません。いらないところにもつけてるなーとかちょっと思いました。

全体的には、まぁおもしろいかなーレベルです。まだこなれてなかったり、展開の悪さも少し感じますが、物語の魅力で補ってる感じです。がんばれ海原さん。

あーそういえば、前作でもあった「上」とか「権威」みたいなもの批判は今回もありました。作者の過去に何かあったのでしょうか……。主人公達に親近感を持たせるひとつの手段だとは思いますが、使いすぎはよくないと思うです。これが始めての人にはいいかもしれませんけどねー。

 

    評価:★★☆