『9S 4』 (葉山透・ISBN:4840227608)


9Sは、ある天才マッドサイエンティストが創り出した、「遺産」と呼ばれる超科学的なアーティファクトをめぐって、その科学者の娘であり、超人的な頭脳を持つ女の子や、その科学者に敵対する世界の情報を牛耳っている企業、「遺産」を集めている組織などがおこす、SF物語です。天才だけど世間知らずなヒロインとか、普通なんだけど本当は危険な主人公とか、大企業をきりもりする活発でお嬢様な妹とか、めちゃくちゃ強そうなおやじとか、それらに振り回される大人たちとか、そんな感じです。
最初の巻は、正直普通くらいのライトノベルだと思っていたのですけれど、巻数を重ねるにつれよくなっていってる気がします。物理とか科学の方にはあまり詳しくないので、突っ込み所があるかないか判断できないのですけど、その方向の知識が溢れるほど出てきますし、作者の頑張りがうかがえる、結構きちんとしたSFではないでしょうか。……ちょっとやり過ぎかなぁと思うこともありますけど。
4巻は3巻の続き、解決編ということで、ストーリー的には真面目麻耶と峰島由宇が頑張る話です。連続する危機的状況を知恵と勇気で乗り越えてくといった感じで、何回も山場があり、またか!とならなくもないですけど、まぁそこまで気になりませんし、ひとつひとつはよくできていたと思うので、許容範囲です。ちょっと減らして、もう少しスマートにしたほうが良いとは思いますけど、作者が物語を漏れなく閉じようとしているみたいなので、いいのかなー。
あとは、4巻はほとんど麻耶と由宇サイドで話が進んでいくのですが、上のwordのような二人の掛け合いがよかったです。3巻での風間と由宇の会話も面白かったですけど、今回の麻耶と由宇の会話もよくできてるなーと感じました。二人ともとことん対立するといった感じで、二人の立場や性格がよく出てると思います。
5間の発売も決定し、これからは今までのように一話完結ではなく、峰島勇次郎を追ってのストーリーが開始するようなので、こんな感じで頑張ってくださいです。
 
    評価:★★☆