『ロボット妹』 (佐藤ケイ・ISBN:4840227543)


天国に涙はいらない』の佐藤ケイさんの新刊です。『LAST KISS』と対になる作品だとか。*1『電撃ヴんこ』に乗ったものを加筆文庫化したもので、おかゆまさきさんが解説をつけてます。
内容は、硬派な高校生男子・巌鉄岩男が、萌えロボットのもえみちゃんにのって地球を救うお話です。ギャグです。担当さんがボツ出すだろうなーと思えるくらいの、ある意味問題作です。『天国に〜』も結構すごいけれど、ここまで深くはなく、萌え概念みたいなものを周りから見ている感じなのですが、こっちはやばいです。はいりこみすぎです。
ただ、面白いことは確かに面白いです。イタさを笑うみたいな。とても家族には見せられません。台詞と登場人物の心の声で状況を描写して、地の分と呼ぶようなものがないという特殊な文体は、好き嫌いこそあると思いますが、作品の個性を強めてますし、展開の仕方やしめ方もうまいと感じさせるものがあります。なんだかんだいって、この人はすごいんじゃないかなぁって思います。「萌え」を熟知しているというか、うまく使ってる作品でした。*2
天国に涙はいらない』に少し飽きてしまっていたぼくには、すごくいい(?)スパイスでした。ちょっとつきぬけてるというか。『天国に涙はいらない』の最新刊も買ってみようかな……。点数はあげられないですけど、おもしろい作品です。さらっと読めますし、少し深いところにいる人はわかるハズです。
でも、この人の作品って売れてるのかなぁ。続編がたくさん出てるということは売れてるってコトなのでしょうか。日本はダイジョブか!とありがちな不安を口にしてみる。
   
    評価:★★☆

*1:個人的には対じゃなくて、対偶な気がします。

*2:天国に涙はいらない』もそうですけどね。