『BACCANO! 1933 (上)』 (成田良悟・ISBN:484022787X)


ガンドールファミリーの拷問魔チックと雇われの日本刀使いマリア、マルティージョファミリーの秘書ロニー、N.Yまで逃げてきたジャグジー達、謎の組織「ラルウァ」。周りの人々を巻き込んで、壮大なドミノ倒しは連鎖していく……。バッカーノシリーズ5作目は上下巻ですよー。
今作はすごく出来がいい!『デュラララ!!』と『ヴぁんぷ!』も好きですけれど、これに比べると見劣りするかもってくらい。上巻はとりあえず登場人物が全部そろったかな、というところで終わっていて、下巻が待ち遠しすぎます。
やっぱり大きな違いは、ノリの違いでしょう。成田さんの作品はその勢いが全てといっても過言ではなく、「ヒャッハァ」の一言で表せますが、やはりあの二人が関わってくると断然いいです。特に今回は二人がほぼメインで、ドミノの板を並べていく役柄を演じています。あ、いつもそんな感じか。でも今回はそれが際立ってますねー。やっぱり、バッカーノシリーズの主役はあの二人で決定ですね。
新しく大筋に絡んできた登場人物もいい感じです。チックはそんなに好きではないのですけれど、マリアはいいもの持ってます。マリアはある意味ヒロインだったかも知れません。とことん陽気なのだけど、その少しの陰にうまくスポットライトが当てられて、よき配合具合です。「ラルウァ」の面子はそんなにいい人いなさげです。アデルとかは人によっては好きかもしれません。でも、この手のキャラは良く成田作品に出てくるような。おどおどしてるけど狂ってる感じ。個人的にはティムの思考がすきですよー。あとはロニー。かっこいいです。とゆかそんなのありか?
気になるのはダラス。まさか再登場するとは……。徹底的な駄目人間かと思いきや、変な人間性を持ってたり、こっちの気持ちを複雑にさせるという点では、かなりのキャラです。バッドエンドに一番近い位置にいそうな彼ですけど、多分、この物語の出来を左右するキャラになりそうな感じ。
最後に。今回も一番最初のカラーのページの文章は最後に読むことを推奨します。とくに最後のダラスとイブのページとか……。一瞬誰かわかんなかったし。エナミカツミさんのイラストは今作もサイコーですね。シャーネの子供の頃とか……。絵的にはロニーとエニスが屋敷に入ったところと、マリアとシャーネの戦ってる絵が秀逸です。雰囲気出てます。
 
    評価:★★★★