『オーバー・ザ・ホライズン 僕は猫と空を行く』 (橘早月・ISBN:4840227896)


かつては飛行気乗りの国だったイェジ。しかし、長くにわたる戦争で国は疲弊し、すべての飛行機は国と軍が管理するようになっていた。その国に生まれたトウジは、整備士として暮らしながらも、戦死した父の後を追いパイロットを目指していた。そんな少年のところに、しゃべる猫イワノフが現れ、そしてまた軍からもパイロットの誘いが来て……。
前にも書きましたが、web上で小説を書いていた人の作品です。でもその辺はあんまりわからなかったかなぁ。違和感は特になかったです。ただ、文章が硬い。物語自体が硬く、あまり笑うような雰囲気ではないのでよいのかもしれませんけれど、ちょっと真面目すぎる気がします。ほら、ライトノベルなんですし……。多分、字の文に状況説明が多すぎるのが問題な気がしますよー。あー、あと力を抜くべきところがわからないのかもしれない。全体的に雰囲気が一定な感じです。ステラとイワノフのあたりとか、もっとポップにしてもいいと思いますし、ペトルとかも、抜けてるのはトウジ達の前だけで、お偉いさんがいるときは完璧に演じてる……とかのほうがよかったと思いますよー。
ほら、空のお話なんですし。
ただ、主要な登場人物が、父親とかそれに準じるものが強い動機となっている、という物語の作り方は面白いと思いました。しゃべる猫、イワノフの台詞も、最初は少し違和感があったのですけど、結構いい感じでしたし、トウジの愚直な性格も(ぼくは好きじゃないですけど)いいんじゃないかなーと思います。
一応これからに期待、なのでしょうか。誰かと誰かの掛け合いが結構出てくるのですけど、そのあたりがもうちょっと面白ければだいぶよくなるかなぁ。まだ読んでて、ふーんってかんじでしたし。ライトノベルとしてはちょっと硬くて、一般小説としては足りない、あまり良くはないですね……。
最後に、イラストの人、がんばってください……。
 
    評価:★☆