No.67

僕たちはちっぽけだ。
まあ、当たり前だけどさ。わかっちゃいるさ、もちろん。時の流れをどうこうできるどころか、僕にはひとりの女の子を救うことさえできない。
せいぜい女の子を笑わせることができるくらいだ。
それだって、かなり難しい。
怒らせてばっかりなんだ、実際は。
なかなか里香は笑ってくれない。
情けないけど、僕なんてその程度のもんだ。
    (橋本紡・『半分の月がのぼる空 3』・ISBN:4840227837

なんかこの、主人公の情けなさが爆発しているところが、この小説のよいところだと思うのですよね。こういう半端な詩的さとか繊細さとか苦悩とかが絶妙にブレンドされた文章が、すごいうまいです。うますぎ。