『半分の月がのぼる空 3』 (橋本紡・ISBN:4840227837)


手術を決意した里香。病気の深刻さを知り、悩む裕一。そんななか里香は、裕一に写真を撮ってほしい、とか、学校に行きたい、といい……。クライマックス一歩手前の巻です。
この巻も、よかったです。無理やり悪く言えば、クオリティが変わらず、ぬるい空気のままともいえますが、それで全然よいので構いません。なんで橋本さんは、青春っぽい馬鹿で、単純で、青臭くて、一直線で……みたいな雰囲気や文章を書くのがうまいのでしょうか。ちょっと心配だったりしますよ。
前の巻では、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が効果的な小物として使われてましたが、今回は「カメラ」です。写真というもの自体何か悲しいものがありますが、まさかそれだけじゃなくそんなことまで……うぐっという感じで、二つ目のそれにはやられました。この人小物使うのもうまいよ……。あとは『チボー家の人々』という本が小物として出てきますが、こっちもなかなか。機会があればちょっと読んでみたいです。
最後の夏目の台詞もあいまって、続きが気になります。はやくだしてくれー。里香はどうなるんだ。むむむ。

    評価:★★★