『嘘つきは妹にしておく』 (清水マリコ・ISBN:4840106746)

嘘つきは妹にしておく (MF文庫J)
ある日カバンの中にページが真っ白な本を見つけるヨシユキ。そのヨシユキの前に不思議な少女が現れ、ヨシユキはその少女とともに、本の中身を取り戻すため、人の心に隠れたシナリオ集めをすることになる。題名がとっても素敵すぎ。
清水マリコさんはそこそこ有名な作家さんらしく、もの寂しいような雰囲気がしんみりしみる、いい作品でした。出てくるキャラもちゃんとしているし、きちんとかわいい。文体がちょっと特殊で、地の分が主人公目線、というより主人公思考で書かれていて、しかもすごく淡々としているので、好き嫌いが分かれるかもしれません。ぼくは最初ちょっと違和感ありましたけど、すぐ慣れました。
物語は結構面白く、ちょっとした探偵ものとか謎解きみたいなものがシナリオの数だけあって、さらさらと楽しめました。最後の終わり方はちょっとえーっとは思いましたけど、まぁよいです。なんか、ちょっと大人向けの絵本って感じがしますね。
キャラクター、特に女性ですが、妹、先輩、同級生とそろっていて、しかも性格付けがしっかり分かれていて、どんな人も漏れなくカバーみたいな感じです。普通に言うとうまく書いてるなーと。ただ、男性キャラはいまいち影が薄くて、そこまで立ってなかったです。主人公のキャラが薄いのは、感情移入系っぽい作品なのでむしろよいとは思うのですが、ほかに魅力的な男がいないのは、ちょっともったいない気がします。敵役の男の人も、なんだかよくわかりませんでしたし。
でも、美人でコスプレで変に明るい先輩はサイコーです。
イラストのtoi8さんは、作品にあってますねー。でもなんか、時々ちょっと首をひねってしまうようなイラストがあるようなないような。表紙のイラストが一番好きです。
 
    評価:★★☆