『翔太と猫のインサイトの夏休み』 (永井均・ISBN:4888482896)

翔太と猫のインサイトの夏休み―哲学的諸問題へのいざない
暇なうちに、読んだ本を整理しないといけません。とゆーわけで、まえにも取り上げた、永井先生の本です。図書館で借りてきました。この本は中高生向けだけあってなかなかわかりやすいですし(それでも中高生向けじゃないトコロもありますが)、基本のところを押さえて、たくさんの論点をわかりやすく出しているので、なかなかよい本だと思いました。
内容は五章に分かれていて、それぞれの章が終わるごとに、その章の問題に関連した、哲学者のエピソードが語られます。一章目は「今が夢じゃない証拠?」の話で、真理や懐疑論についての議論で、二章目が自分とか他人、心の問題。三章目は善悪から始まって、認識や意味の問題、四章目が自由意志、生きる意味、死ぬことについて、そして最後の五章目はエピローグです。取り上げられる哲学者は、それぞれ、デカルト、カント、ヴィトゲンシュタインハイデガーで、きちんと哲学の教科書っぽいですね。
全編、翔太という少年と猫のインサイトの対話で話が進められていきます。ある問題に翔太が答えて、じゃあこんなのは?とインサイトがさらに発展した問題を出したり、説明、整理し、議論します。ソクラテスみたいな感じ。中高生でここまで発展できたらかなりすごいと思いますけど、自分の興味のある分野だけでもじっくり読めば、かなり勉強になるし、楽しいのではないでしょうか。
対話自体テンポよく、結構面白くて、例えばインサイトが「翔太!君は天才か!?」みたいに誉めたかと思ったら「あぁ、やっぱり君は筋金入りの馬鹿だったんだね!」ところころ変わるのが、すっごい哲学者っぽくて好感触でした。
装丁もセンスよさげですし、少し気になったら、普通の哲学書よりは軽く読めるので、お勧めですよー。こういう最初の疑問みたいなものは、誰であっても少しは持ち続けるべきだと思いますし。
あぁ、ぼくもインサイトみたいな猫にあってみたいなぁ。
 
評価:★★★