『Alice』 (川崎康弘・ISBN:4840228388)


いまより少し時代が進み、政治と企業が法と金で汚くつながった日本。そんな東京に住む、特異体質を持ち、"狂犬"と呼ばれるバイオレンスな少女アリスと、アリスが世話になっている探偵事務所の物語。分類的にはギャグモノらしいです。
そう、ギャグモノらしいのです。表紙見るとサイバーパンク系のSFかと思いきや、中身はちょっとシュールな感じのあるコメディでした。だ、だまされた……。SFモノだと思って読むと、設定とかちょっと気になってしまいますので注意。半分くらいまで、ここから真面目で深い話が始まるんだ……と思って読んでました。
ギャグの方としてみるなら、それなりの出来だと思います。現実と虚構が一緒なシシドーくんとか、ラストの熱い男二人の対決のときの台詞とか、なかなかよいものがあります。あと、くまが。
でも、ちょっと足りないというか、どっちつかずに感じてしまうところもあったり。近未来的な設定の部分と、コメディな部分とが乖離してしまって、ちぐはぐな印象を受けます。ギャグモノであるならば、設定すらもどうにかするべきだと思うのですが……。あと、ギャグものにしては、突っ込みの力が弱いかも……。アリスもっと頑張れって感じです。アリスがあまりかわいく感じられないのも、ウィークポイントですね。
まぁそんなのは、真面目なのを期待してたぼくが悪いわけで。うん。くまがいればそれでいい気もしてきました。この本はむしろくまのためにある本ですね。ホントは買う気なかったのですけど、見開きのイラストを見て衝動買いしてしまったのでした。くま。
 
    評価:★☆